Ｅ．Ｇ．コンバット

[小 説]

　恐るべき女子体育会系を描いた近未来ＳＦ小説で、電撃文庫から３巻まで出ていて
４巻が出る事になっていました。（過去形で書いてもいいと思う）
小説の原作は秋山瑞人（あきやまみずひと）と言う方ですが、小説の挿絵を描いて
いる「よしみる」と言う方が元々同人誌漫画として出していた物だそうです。
原作者の秋山瑞人の最近の作品には「イリヤの空、ＵＦＯの夏」がありまして、
こちらの方が有名だと思われます。

　とても難しい言葉や読みにくい表現の連発なのですが、話がアップテンポに進み
ストレスを全く感じさせない作りになっています。
特に時間の経過の表現は職人芸に値するのではないかと思うぐらい上手いのです。
たった数秒の出来事が２・３時間の出来事のように表現していてなおかつ読者を
ダレさせないような物もあれば、何時間もの出来事が数分の出来事のように圧縮
されていてなおかつ読者にはしっかり登場人物たちの疲労感を感じさせるのです。
小説家を志す人には大いに参考になる技法だと思われます。

　なおコムトロニックのＬｉｅ２までの作品にＥＧはなぁんにも影響を与えて
いません。というのも、ある方からＬｉｅ２を出した後で、女子訓練生と教官の
話を扱った作品があるので読んでみたらと薦められ、読んでみたところ、
すっかりファンになってしまったという事です。
もし、この作品を先に読んでいたらＬｉｅ２の内容はもっと過激になっていたかも。


背景設定
　コンバットと付く以上、舞台は近未来の月の軍隊なのですが、地球にいた人類は
プラネリアムという謎の宇宙生命体の来襲によって滅亡寸前に追い込まれています。
このプラネリアムという宇宙生物は女性に対しては男性以上に妙な行動を取るのです。
例えば二足歩行型のマシンから女性パイロットを一思いに殺さずに、引きずり出して
殺すとか、あるいは女性の気配に敏感に反応するとかです。
おかげで人類は月に全女性を疎開させて地球には男性のみを残してプラネリアムと
戦っているのです。そして優秀な女性兵士のみが地球へ行く事ができるのです。
　主人公の「ルノア・キササゲ」はその優秀な兵士の一人で、地球では到底不可能と
言われるような作戦を何度も成功に導いてしかも生還してきた歴戦の勇士で、
全人類の憧れの存在でした。
それが訓練生時代からの犬猿の仲で先輩だった同僚の嫌がらせで地球の前線から
月の母校へ左遷されてしまい、どういう訳か最低最悪の五人の女子訓練生の教官に
なってしまうのです。


主な登場人物
　　　ルノア・キササゲ大尉　実行不可能と呼ばれていた作戦名「シナリオ１１」を
　　　　　　　　　　　　　　成功に導き、しかも生還してきた奇跡の人。
　　　　　　　　　　　　　　人は彼女を「反応速度の女神」と呼び、その名を知らない
　　　　　　　　　　　　　　のは以下のボンクラ訓練生４人だけだったり。

　　　アマルス・ヒホン伍長　ルノア隊に改名される前のリーダー的存在
ペスカトーレ・メッシナ三等　アマルスに続くナンバー２的存在だが超危ない奴
　チャーミー・グリント二等　必ずこの手の話にいる眼鏡娘。しかし軍一の通信技術者
　　　アイ・ブラッシュ三等　マスコット的存在
　　　　チュン・マリポ二等　唯一ルノアに憧れていた頑張り屋さん

カデナ・メイプルリーフ伍長　優等生部隊のリーダーでアマルスの天敵　ルノアファン
　ラセレーナ・クリフト大尉　ルノアの天敵　中将の娘で超お嬢様　左遷の張本人
　　　小夜子・ヤマグチ大佐　なんでもお見通しのルノアの元教官で現基地司令官